運行管理者を辞めたいと思っても、「別の会社なら続けられるかもしれない」「運行管理そのものを辞めたほうがいいのでは」と迷う人もいるでしょう。
運行管理者に共通して求められる業務と、勤務時間や兼務、人員体制など会社によって変わる部分は分けて考える必要があります。
ここを整理しないまま転職すると、職場を変えても同じ悩みが残る可能性があります。
この記事では、運行管理者の仕事内容や責任を公的資料から確認したうえで、「今の会社がきついのか」「運行管理そのものがきついのか」を整理します。
辞めるか続けるか迷っている方は、判断材料として参考にしてください。
【この記事で分かること】
- 運行管理の仕事がきつい・辞めたいと感じる主な理由
- 「今の会社」と「運行管理の仕事そのもの」のどちらがつらいのかを整理する方法
- 運行管理者を辞める前に確認しておきたいポイント
- 運行管理を続ける場合・別の仕事へ転職する場合の選択肢
運行管理の仕事がきつい・辞めたいと感じる主な理由
運行管理者の負担を考えるときは、「法律上求められる運行管理業務」と「会社ごとの働き方」を分けて考えることが大切です。
まずは、運行管理という仕事そのものにどのような負担が生じ得るのかを確認していきます。
運行の安全に関わる責任がある
運行管理者は、トラックが安全に運行できるよう管理する役割を担います。
点呼では、酒気帯びの有無だけでなく、疾病・疲労・睡眠不足などによって安全な運転ができないおそれがないかを確認し、必要な指示を行います。
また、勤務時間などを考慮した乗務割の作成や、必要に応じた交替運転者の配置、運転者への指導・監督なども業務に含まれます。

そのため、安全に関する判断や人への指示を負担に感じる人にとっては、仕事そのものが重く感じられることがあります。
ただし、事故が起きたからといって、運行管理者個人が自動的に処分や刑事責任を負うわけではありません。
運行管理者資格者証の返納命令などの制度はありますが、事故の発生と個人への処分を単純に結びつけて考えないことが重要です。
点呼や勤務時間の管理など担当する業務が幅広い

貨物の運行管理者には、安全運行のためのさまざまな業務が求められています。
代表的なものとして、次のような業務があります。
- 運転者の勤務時間などを考慮した乗務割の作成
- 必要に応じた交替運転者の配置
- 異常気象時などの運転者への指示
- 酒気帯び、疾病、疲労、睡眠不足などの確認
- 点呼とその記録
- 乗務や事故に関する記録
- 運転者への指導・監督
- 運行指示書の作成など
運行管理者の具体的な業務は、国土交通省「貨物自動車運送事業法における運行管理者の業務」でも確認できます。
さらに、国土交通省の通達では、法令で定められている業務は運行管理者に行わせるべき最低限の範囲とされています。
つまり、会社によっては法定業務に加えて、配車や事務、顧客対応など別の仕事を担当する場合もあります。

「運行管理がきつい」と感じていても、実際には運行管理そのものより兼務の多さが負担になっている可能性もあります。
早朝・深夜を含む運行への対応が必要になる場合がある
トラックの運行時間は会社によって異なります。
早朝や深夜に出発・帰庫する運行を扱う営業所では、その運行に対応できる点呼や運行管理体制が必要になります。
ただし、すべての運行管理者が早朝から深夜まで勤務するわけではありません。
複数の運行管理者や補助者で分担している会社もあるため、実際の勤務時間やシフトは会社によって変わります。
また、2024年4月からはトラックドライバーにも時間外労働の上限規制が適用され、厚生労働省「トラック運転者の改善基準告示」で拘束時間や休息期間などの基準も定められています。
運行管理者には運転者の勤務時間などを考慮して乗務割を作成する役割があるため、こうしたルールを踏まえた運行管理も必要になります。
事故や異常気象など通常とは違う状況への対応がある
運送の仕事では、毎日必ず予定どおりに運行できるとは限りません。
国土交通省が示す運行管理者の業務には、事故に関する記録や、異常気象などによって安全確保に支障が生じるおそれがある場合に必要な指示を行うことなども含まれています。

通常運行だけでなく、状況に応じて安全面を考えながら判断する場面があるということです。
一方で、欠勤したドライバーの代わりを探す、顧客へ連絡する、代替車両を手配するといった業務まで運行管理者が担当するかは会社によって異なります。
突発対応がつらい場合は、法定の運行管理業務が負担なのか、会社独自の担当範囲が広すぎるのかを分けて考えてみましょう。
ドライバーへの指示・指導が負担になることがある
運行管理者には、運転者への指示や指導・監督も求められます。
そのため、パソコンや書類だけを相手にする仕事ではありません。
人への指示や安全面の指導をすること自体に強いストレスを感じる場合は、会社を変えても同じ負担が残る可能性があります。
反対に、特定の人間関係や職場のコミュニケーション方法が原因なら、会社を変えることで状況が変わる可能性もあります。

「人間関係が嫌なのか」「人を管理・指導する役割そのものが嫌なのか」を分けて考えることがポイントです。
給与・休日と担当業務のバランスに不満を感じることがある
同じ運行管理者でも、給与、休日、勤務時間、担当業務は会社によって同じではありません。
運行管理だけを担当する会社もあれば、配車や事務などを兼務する求人もあります。
「これだけ仕事を任されているのに給与が見合わない」「休日が少なくて続けられない」と感じている場合、運行管理そのものではなく現在の待遇や業務分担への不満が大きい可能性があります。

給与だけでなく、休日、勤務時間、兼務、人員体制まで含めて確認することが大切です。
【チェックリスト】今の会社がきつい?運行管理そのものがきつい?

辞めたい理由がまだ整理できていない場合は、次の2つに分けて考えてみましょう。
| 今の会社・職場環境に原因がありそう | 運行管理の仕事そのものに負担を感じていそう |
|---|---|
| □ 運行管理以外の兼務が多い | □ 点呼そのものを負担に感じる |
| □ 一人に業務が集中していると感じる | □ ドライバーへの指示・指導がつらい |
| □ 勤務時間やシフトに不満がある | □ 安全に関わる判断をすることがつらい |
| □ 休日の取り方に不満がある | □ 乗務割や勤務時間を管理する仕事がつらい |
| □ 給与・手当と担当業務が見合っていないと感じる | □ 事故・異常時に判断や指示を求められることがつらい |
| □ 配車・顧客対応など複数の仕事を兼務している | □ 運転者の健康状態などを確認する責任がつらい |
| □ 人員や分業体制に不満がある | □ 職場が変わっても残る運行管理業務自体を続けたくない |
チェック数だけで「転職すべき」「運行管理を辞めるべき」と判断する必要はありません。
左側の項目が気になるなら、別の会社の運行管理求人と比較する価値があります。
右側の項目そのものが大きな負担なら、運行管理以外の仕事も含めて検討したほうが選択肢を整理しやすくなります。
両方に当てはまる場合は、まず今の仕事で何が一番つらいのかを1つずつ切り分けてみましょう。
今の会社を辞めれば解決する可能性があるケース
運行管理者として働くこと自体ではなく、今の会社の勤務条件や業務分担に不満がある場合は、別の会社で運行管理を続ける方法があります。
| 会社によって変わり得るもの | 会社を変えても基本的に残る運行管理業務 |
|---|---|
| 勤務時間・シフト | 点呼 |
| 年間休日・休日の取り方 | 運転者の健康状態や酒気帯びなどの確認 |
| 給与・資格手当 | 勤務時間などを考慮した乗務割の作成 |
| 運行管理者・補助者などの人員体制 | 安全な運行に必要な指示 |
| 運行管理以外の兼務 | 運転者への指導・監督 |
| 配車・顧客対応などの分業体制 | 乗務や事故などに関する記録 |
| 担当する運行の時間帯・内容 | 必要に応じた交替運転者の配置 |
同じ運行管理でも会社によって働き方は違う
「運行管理者」という職種名が同じでも、働き方まで同じとは限りません。
勤務時間、休日、給与だけでなく、何人で運行管理を担当するのか、補助者がいるのか、配車や顧客対応まで兼務するのかによっても負担は変わります。
今の会社で不満に感じている条件を明確にしてから他社求人を見ると、単なる給与比較だけで終わりにくくなります。

運送会社を選ぶときの具体的なチェックポイントは、ホワイトな運送会社の見分け方でも詳しく解説しています。
転職前に求人票と面接で確認したいポイント
求人票を見るときは、月給だけで判断しないほうがよいでしょう。
少なくとも、実際の勤務時間・シフト、年間休日と休日形態、運行管理者や補助者の人数、運行管理以外に担当する仕事、配車や顧客対応の兼務、資格手当や残業代の扱いなどは確認しておきたいところです。
求人票だけでは分からない項目もあるため、面接では「運行管理は何人で担当していますか?」「早朝・深夜の点呼はどのような体制ですか?」「運行管理以外に兼務する業務はありますか?」など、実際の働き方が分かる質問をしてみましょう。
運行管理そのものを辞めたい場合の選択肢
会社を変えても残る業務そのものがつらい場合は、運行管理以外の仕事を検討する方法もあります。
ただし、「今の仕事が嫌だから」という理由だけで次の仕事を決めると、別の不満が出てくる可能性があります。
| 今の仕事で負担だったこと | 次の仕事で避けたい・確認したい条件 | それでも残したい条件 |
|---|---|---|
| 早朝・深夜を含む勤務 | 希望する勤務時間、夜勤の有無、シフト | 例:正社員として働く |
| 休日が少ない・取りにくい | 年間休日、休日形態、希望休の扱い | 例:収入水準は維持したい |
| 人への指示・指導 | 人を管理・指導する業務の比重 | 例:人と関わる仕事は続けたい |
| 安全に関わる責任 | どこまで判断・管理責任を担う仕事か | 例:運送業界には残りたい |
| 事故・異常時などの対応 | 突発対応や緊急連絡の有無 | 例:デスクワークを続けたい |
| 業務量・兼務の多さ | 具体的な仕事内容、分業体制 | 例:これまでの知識を使いたい |
| 給与・手当への不満 | 基本給、手当、残業代、昇給など | 例:現在と同程度以上の収入 |
避けたい条件と残したい条件を決めてから転職先を比較する
転職先を探す前に、「もうやりたくないこと」と「次の仕事でも残したいこと」を分けておくと比較しやすくなります。
職種名だけで判断せず、実際の仕事内容と条件を比較することが大切です。
ドライバーへ戻る・転職する選択肢
運行管理者になる前にドライバーを経験していた人や、運転する仕事に興味がある人なら、ドライバーへの転職も選択肢の一つです。
ただし、運行管理よりドライバーのほうが楽とは限りません。
ドライバーには運転時間、荷役、勤務時間、事故リスクなど別の負担があります。

仕事内容や負担を先に確認したい方は、トラック運転手はきつい?労働実態や働き方も参考にしてください。
また、運行管理で感じていた「人への指示・管理」が減っても、長時間の運転や一人で仕事をする時間が増える可能性があります。

ドライバーという仕事が自分に合うか迷っている場合は、トラック運転手の向き不向きと適性も確認してみてください。
「運行管理から逃げるため」ではなく、仕事内容や勤務条件を比較したうえで、自分に合うか判断することが大切です。
条件を整理したうえで実際の求人を探したい場合は、トラック運転手向け転職サイト7社の比較も参考にしてください。
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運送業界以外へ転職する選択肢
運送業界そのものから離れる方法もあります。
この場合も、職種名から選ぶより、運行管理の何が負担だったのかを基準にしたほうが比較しやすくなります。
たとえば「人への指示・指導を減らしたい」「緊急対応が少ない仕事にしたい」「勤務時間を安定させたい」など、自分が避けたい条件を先に決めておきます。
そのうえで求人ごとの仕事内容や勤務条件を比較しましょう。
「自分が辞めたら会社が回らない」と引き止められたら?
運行管理者が少ない職場では、「あなたが辞めたら困る」「運行できなくなる」と引き止められるケースも考えられます。
ただし、会社側の運行管理体制と、自分自身の退職手続は分けて考える必要があります。
運行管理者が辞めた瞬間に営業停止になるわけではない
貨物自動車運送事業者には、営業所の車両数などに応じて必要な人数の運行管理者を選任する義務があります。
国土交通省の運行管理に関する資料では、営業所ごとに必要数以上の運行管理者を選任することや、選任・解任した場合に届け出ることが示されています。
そのため、運行管理者が退職する場合、事業者側は必要な運行管理体制を確保する必要があります。
しかし、「運行管理者が1人辞めた瞬間に、その会社が自動的に営業停止になる」わけではありません。
必要な運行管理者を確保し、法令に沿った体制を整えることは事業者側の責任です。

「自分が辞めたら会社が回らない」と言われた場合も、会社の管理体制の問題と、自分の退職については分けて考えましょう。
退職するときは雇用契約と就業規則を確認する
退職を考えている場合は、まず自分の雇用契約が期間の定めのない契約なのか、有期契約なのかを確認しましょう。
厚生労働省の退職に関する案内では、期間の定めのない労働契約については、原則として退職の申入れから2週間で労働契約が終了すると説明されています。
一方、会社の就業規則に退職手続が定められていることもあるため、トラブルを避けるためにも確認しておくことが大切です。
有期労働契約の場合は扱いが異なります。
退職について会社とトラブルになっている場合は、自分だけで判断せず、労働基準監督署や総合労働相談コーナーなど公的な相談先を利用する方法もあります。
運行管理者を辞めるか迷ったときに確認したいこと

STEP1:一番つらいことを1つ決める
まず、「何が一番つらくて辞めたいのか」を考えます。
給与、休日、勤務時間、人間関係、兼務の多さ、点呼、人への指示、安全に関する責任など、理由は人によって違います。
全部まとめて「運行管理が嫌」と考えず、負担の大きいものから切り分けてみましょう。
STEP2:会社を変えても残る問題か確認する
次に、その問題が会社を変えることで変わるものかを確認します。
給与、休日、勤務時間、人員体制、兼務などは会社によって変わる可能性があります。
一方、点呼、安全に関する指示、運転者への指導・監督などは、運行管理者として働く以上、基本的に残る業務です。
ここを分けると、「別の会社で運行管理を続ける」「運行管理以外へ転職する」のどちらを比較すべきか見えやすくなります。
STEP3:次の仕事で避けたい条件を決める
最後に、転職先で同じ悩みを繰り返さないための条件を決めます。
「年間休日○日以上」といった数字だけでなく、「夜勤は避けたい」「人への指示が少ない仕事がいい」「運送業界には残りたい」「給与は現在と同程度を維持したい」など、自分にとって優先順位の高い条件を整理します。
その条件をもとに求人を比較してから、今の会社を辞めるか、運行管理そのものを辞めるかを判断しましょう。
まとめ
運行管理者を辞めたいと感じたときに、すぐ「運行管理は自分に向いていない」と決める必要はありません。
まず確認したいのは、今の会社がきついのか、運行管理という仕事そのものがきついのかです。
勤務時間、休日、給与、人員体制、兼務などが原因なら、別の会社では条件が変わる可能性があります。
一方、点呼、運転者への指示・指導、安全に関する判断など、運行管理者として基本的に残る仕事そのものが負担なら、別職種まで含めて比較したほうがよいでしょう。
大切なのは、「辞める・辞めない」を先に決めることではなく、何を変えれば今の悩みが解消するのかを整理することです。
そのうえで、今の会社で続ける、別の会社で運行管理を続ける、ドライバーへ転職する、運送業界以外へ移る、といった選択肢を比較してみてください。

